Azure Site Recovery の処理を図にしてみた
Azure Site Recovery の流れはMSのサイトに書いてはあるものの、いまいち動作の流れが掴めないのでステップごとに図にしてみました。
MSサポートに聞きながら作ったので概ね合っていると思いますが、間違ってたらごめんなさい。。
【前提】
東日本リージョンに仮想マシンがあって、西日本リージョンにフェールオーバーする構成とします。
0.正常稼働時
東日本リージョンに障害が起きていないとき、つまり正常な状態はこんな感じ。
仮想マシンには「モビリティサービス」というアプリがインストールされていて、このアプリがスナップショットを取ってキャッシュストレージ(ストレージアカウント)に格納する。
スナップショットは常時西日本リージョンにコピーされる。どこに置かれているかはわからない。
レプリカディスクはレプリケーションの設定をしたときに最初に作られる。フェールバックの項で後述。
Azure Site Recovery 本体は「フェールオーバー先」に作ること。

1.フェールオーバー①:東日本の仮想マシンが停止(オプション)
フェールオーバーを開始するときに、「フェールオーバーを開始する前にマシンをシャットダウンする」にチェックを入れておくと、文字通り仮想マシンが停止する。
こうすることで、フェールオーバーし終わったあとに移行元サーバへのデータ更新を止める狙いがあると思われる。
スナップショットを取得しているときに仮想マシンが停止されても問題はない。「クラッシュ整合性スナップショット」は仮想マシン稼働中に電源がブチッと切れた場合でもディスク上のデータは残るため。
フェールオーバーの設定で復旧ポイントを「最新 (最低 RPO)」にしていると、仮想マシンが停止したときにスナップショットを取っていた場合はスナップショットが作られるのを待ち、このスナップショットを使ってフェールオーバーする。「最後の処理日時 (最短 RTO)」を選択した場合は、このスナップショットが作られるのを待たずして、今西日本リージョンにある最新のスナップショットを使ってフェールオーバーする。
仮想マシンが停止したあとは、スナップショットは取得されなくなる。

2.フェールオーバー②:西日本に仮想マシンが作成される
もともと西日本にあるレプリカディスクと、指定した復旧ポイントを使って、西日本に仮想マシンが作られる。

3.コミット
復旧ポイントを確定する処理。コミットするとレプリカディスク「-ASRReplica」と復旧ポイントは削除される。

4.再保護①:初回レプリケート
再保護をすると、西日本リージョンの仮想マシンにモビリティサービスがインストールされるのだが、このとき仮想マシンがインターネットに接続できる必要がある。接続できないとエラー終了する。
具体的な通信要件は下記に書いてあるが、MS向けの一部URLにTCP/443でアクセスできる必要がある。
Azure VM ディザスター リカバリーのネットワークについて – URL に対する送信接続
https://learn.microsoft.com/ja-jp/azure/site-recovery/azure-to-azure-about-networking#outbound-connectivity-for-urls
西日本リージョンにキャッシュストレージが作られる。
東日本リージョンの仮想マシンが起動していた場合は停止される。
東日本リージョンにレプリカディスクが作られる。このときまず最初に西日本リージョンに「ms-asr-」から始まる一時レプリカディスクが作られ、これを東日本リージョンに転送する。こうして作られたレプリカディスクには「-ASRReplica」という名前が振られ、転送が終わると「ms-asr-」の一時レプリカディスクは削除される。
東日本リージョンにディスクを転送する必要があるので、何時間もかかる。どれくらいかかるかはMSのサイトに計算式が書かれているものの、チェックサムがどうたらこうたらと複雑すぎて意味不明。

5.再保護②:復旧ポイント作成
レプリカディスクが作られると、復旧ポイントが作成される。仕組みはフェールオーバー前の正常稼働時と同じ。

6.フェールバック①:西日本仮想マシンが停止(オプション)
内容はフェールオーバー①と同じ。

7.フェールバック②:東日本に仮想マシンが作成される
東日本リージョンにはすでに仮想マシンとディスクがあるので、たぶんディスクはレプリカディスクと復旧ポイントから作られたディスクで上書きされる。
東日本リージョンの仮想マシンが起動する。

8.コミット
3のコミットと同じ。

9.再保護①:初回レプリケート&西日本仮想マシン削除
これも4と同じ。時間がかかるやつ。
1個違うのは、再保護が始まると西日本リージョンにある仮想マシンは削除される。

10.再保護②:復旧ポイント作成
復旧ポイントが作成されると、0の正常稼働時と同じ状態になる。

もし間違っているところがあればコメント欄よりお知らせくださいまし!